僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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店の
客とサヤカと僕。

常連客の夫婦が店内でいきなり喧嘩を始めた。
が、決着は一瞬。
旦那が妻を一喝しながら強烈な平手打ち。
店内の空気は一瞬にして淀み固まる。

この夫婦にはよくあることだと
慣れてる僕ならまだしも、他の客はそうじゃない。
慣れてる僕でさえ、決して良い気分にはならない。

初めてこの場面に立ち会った不運な客の中に
僕の高校時代の元彼女で
現女友達のサヤカがいた。
重く沈む空気の中、僕はあることを思い出した。

横目でちらりとサヤカの様子を覗う。
思った通り、生気を失くしたような顔をしていた。
店内の照明が暗いから顔色はわからなかったが
見なくてもわかる、血の気が引いた青か白だ。

頭で考えるより先に、僕の身体が動いた。
出来るだけ早く、でもなるべく自然に、
カウンターを出てサヤカへとまっしぐら。
呆然自失なサヤカの腕を掴み肩を抱き
店の外へ、そして店の裏へと誘う。

誰の目にも触れない場所で
サヤカをぎゅっと強く抱き締めた。
少し痛いくらいかなり強めに、態とそうした。

サヤカの様子なんていちいち目で確認しなくてもわかる。
青い顔で歯の根を鳴らし全身が震えてる。
徐々に強くなるサヤカの震えは
僕の腕と胸に刻まれるように伝わっていた。

暫くお互い黙ったまま、離れず、動きもせず。
3分か5分か10分か、どれくらい経ったか
僕らに知る術はなかった。

サヤカは店内に財布もバッグも携帯も置きっ放しだ。
僕は何も告げず突発的に仕事を抜け出した状態。
一刻も早く戻った方が良いとはわかっていたけど
今はそれどころじゃない。
最優先すべきは目の前の腐れ縁の友人だった。

サヤカは以前付き合っていた男から
手酷い暴力を受けて以来
そういうものに過剰反応してしまうのだと言っていた。
TVや映画でそんなシーンが出ても
まともに見られないぐらい怖いんだって。

怖くて身動きが取れなくなって、でも震えが止まらなくなる。
暫く口も利けなくなる。
以前サヤカ本人から聞いていた通りの症状が
僕の腕の中にすっぽりと収まっていた。

どれくらい経ったかわからない頃、震えが次第に緩くなり
サヤカの手元が動き、自分の胸元を守るように
手を胸の上に添えていた。

「大丈夫?」

初めて声を掛けた。
大丈夫なわけないだろって見りゃわかるだろって
ツッコミながらもこんな言葉しか出てこない。
自分で言っておいて、お約束のような「大丈夫」が
彼女から返ってこなければいいと思った。

「うん、大分落ち着いたと思う、ありがとう。」

サヤカの声は小さく掠れて痰も絡んでいた。
よっぽど強い緊張を感じていたんだろうか、
簡単な咳払いすら1発で決められないとは。

サヤカから返事は貰ったけど僕の判断で
震えが治まり顔色が戻るまでは
抱き締めておこうと思っていた。
僕は静かにその時を待つだけだ。

考えてみればおかしな話だ。
どうして僕はこんなことをしてるんだ?
確かにサヤカは大事な友人だけれども。

男の暴力に怯える女の子を
男の腕の中に抱えるって、余計に悪いんじゃないか?
しかも割と強めにぎゅってさ。
逆効果なんじゃねーかコレ。

この時の僕の考えでは強く抱き締めてる感触で
震えてることとか見てしまった怖いものを
一時でも忘れさせたいとか気を逸らせたいとか
そういう風に考えていたんだけど。
上手く言えないんだけどさ。

実際効果があったのか、はたまた逆効果だったのか
結局この時はよくわからなかった。
でも長いような短いような数分の間に
彼女がいつも通りに戻ったのだから
結果オーライってことで。

「こういうことしたら怒られるんじゃないの?」

普段の彼女がふいに僕に問いかけた。
主語の無い言葉、該当する主語も1つではない、
理屈っぽくて勘が鈍い僕に
こんな雰囲気トーク出来るわけがない。

「誰に?」
「今付き合ってる人に。」

誰に、と聞く直前まではマスタのことかマリさんのことか
若しくは店に絶賛放置プレイ中の他のお客さんのことかなー?
なんて考えてた僕は思い切り足元を掬われショートする。
それから光の速さを凌ぐ勢いで思考が脳内を駆け巡る。

あれ、話したことあったっけ?いや話してないな。
タクから聞いたかな、別にいいけど。
それとも女の勘か。
大穴でサトルかマスタかマリさんから聞いた説も
考えられるし最悪他の客からってケースも。

まぁいいや、どれでも。
全力で隠してたわけじゃないしいつかバレることだし。
今思えばこの時わざわざ「付き合ってる人」なんて
回りくどい言い方してる時点でもう、知ってるよね。
普通なら「彼女」って言うじゃん。

「あぁ、ちゃんと話せばわかってくれると思うよ。」
「そっか。」

あれこれ脳内会議をした結果、
今付き合ってる人の存在は肯定することにした。
でもそれ以上は語らない。
聞かれたら答えようと思った。
聞かれたことにだけ。

それから暫く経つけれども
サヤカからは何も聞かれていない。
僕と彼女の間に暗黙の了解のようなものが
さりげなく横たわっていたりするのだろうか。

ここから先の話は余談。

この時店で喧嘩していた夫婦。
実はお互いがW不倫で出来上がったカップル。
男がバツ2で女がバツ1だったかな?
どちらも40代でどちらにも子供がいた。
因みに出逢いはウチの店って話。

この夫婦が喧嘩をする理由、大体決まってる。
その中で男が手を上げるパターンも大体決まってる。
仲直りも大概女が泣きながら折れてゴメンナサイして
その後人目も憚らずぶちゅーっとべろちゅー。
なんつーか、ぶっちゃけすげぇ不愉快なカップル。

旦那の方がさ、定期的に自分の子供に会いに行ってんだよ。
子供は元妻が引き取ったってことでね。
でも今妻には、自分の子に会いに行くなって言ってんの。
今妻が産んだ子にだよ?前の夫との間の子。
今妻の子は前夫が引き取ったらしいから。

そりゃ今妻も怒るだろうよ、理不尽極まりねぇもん。
これが原因でいっつもウチで喧嘩しやがんの。
ただの口喧嘩くらいならいいよ、可愛いもんさ。
犬も食わないっつってね。

この理不尽夫がほぼ毎回、妻に手を上げるんだよ。
家で勝手にやってろっつのわざわざ外出てきてまで
しかもウチの店でやんなっつーの、マジ迷惑。
僕だって女が殴られてんのなんか見たくないっつの。
酒が不味くなんだろ。

だから僕は、この夫婦客が大嫌い。

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コメント閲覧

こんばんは。サヤカさん久しぶりの登場?…と思ったら、そんなことがあったのですね…。

もしかしたら、ある意味toyoさんがいたことで、救われたかもしれないですね。いろんな意味で…。

純情・純愛ロマンチカシリーズの件は、多分去年くらい?にやっていた深夜アニメ…というのは、もしかしたら、ロマンチカシリーズとストーリーが繋がっている 世界一初恋シリーズ?…かもしれないです。たぶん…。
それも何組かカップルがあるので…。

もし、彼氏さんのご機嫌とりにつかうことがあった場合、上手くいくといいですね!


【2012/05/21 22:47】 URL | さくら茶 #- [ 編集]

>さくら茶さん
さくら茶さんこんばんは。
多分それです。そんな感じのタイトルでした。
続き物だったんですね、なるほど。
アニメ化されるぐらいなのだから
少なくとも駄作ではなさそうですね。
【2012/05/24 20:02】 URL | toyo #- [ 編集]

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