僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

05 │2017/06│ 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

新記事

全記事

全タイトルを表示

月別記事

初老1
仕事の話。

僕がまだ1人で店を開けていた頃、
バイトの面接にやってきた1人の男性。
店外の貼り紙を見て「働きたい」と言った。

完全初対面の人だったので
最初が肝心、形だけでもちゃんとしようと
まずは履歴書を持参して欲しいと頼んだ。

およそ1時間後、その人は履歴書を持ってきた。
まさかと思ったが未記入だった。
まぁいい、これから書くんだろうと思ったが
まさか新品のまま「はい」と渡されるなんて。

いや、俺が使うんじゃないし。
そういう意味でお使い頼んだわけじゃないし。
ていうか頼むかこの状況で?
最早嫌な予感しかしなかった。

まだ開店前だったので
その場で書いてもらうことにした。
写真はもういいや。
記入中も嫌な予感はビンビンです。

今日の日付を聞くのはまだいいが
自分の年齢を僕に聞くってどういうこと?
生年月日から逆算してくれ?自分でしろよ。
書き間違いを黒丸で潰すってどうなの?
東京都の都が者になってるのは気のせい?

当店は今深刻な人手不足に陥っている。
ていうか僕の体力精神力がそろそろ限界だ。
贅沢は言っていられない状況ではある。
がしかしこれはいかがなものだろうか?

そして出来上がった履歴書を拝見。
んーお世辞にも美文字とは言えない
ていうか誤字がとても多いですね、とても。
まぁいいさ、字が下手でも仕事には関係ない。

63歳って見た目で中年以上はわかっていたけど
これもう中年じゃないよね、初老だよね。
いや、いいよ。初老のバーテンダーいいじゃない。
趣あっていいと思うよ、全然アリよ。

うちの店に合うかなぁ~?
うちの雰囲気を簡潔に言うと
南国っぽい内装に大ボリュームのレゲエ音楽。
店員はいつもTシャツ系のラフスタイル。

この趣味は僕のものでは一切なくて
全て前マスターの趣味なんだけどさ。
僕もこれに慣れたしいちいち変えるのも
面倒臭いってだけでそのままなんだけど。

63歳さん、どう見ても見た目
ほんと普通のお爺ちゃんなんだけど。
何故うちの店を希望されたんですか?

「貼り紙があったので。」

貼り紙あったら何でもいいの?
どんな仕事でもしちゃうの?
もしかして経験者だったりするのかな。

「飲み屋の仕事の経験はありません。」

ですよね、そんな感じしました。
営業とか水商売経験者って喋り方と雰囲気で
ちょっとわかったりするもんね。
63歳さんどう見ても不器用で朴訥な感じ。

半ば強引に面接をしてしまったが
63歳さんの主張と希望をまとめると
大体こんな感じ。

妻と2人暮らしだが
少ない年金生活だけでは不安なので
家の近所で仕事を探しながら散歩中、
この店を見つけたのだそうで。

そして最大の謎である
何故うちの店をロックオンしたか?については
高時給、未経験者歓迎、年齢不問、資格不要、
社員待遇、各種保険手当等の今時珍しい好待遇が
貼り紙に書かれてあったから、らしい。

確かに嘘は書いてない。
僕が今そうなってるしね。
が、しかし僕と同じ条件までとなると
僕と同じくらい仕事が出来ないと
こうはならないわけですよ。

63歳さん、最初から社員狙いなんだよ何故か。
もうずっと最初から、ずっとだよ。
「いつから社員なんですか?」
「どうしたら社員なれますか?」
そればっか聞いてくるの。

年金生活でしょ?保険とかそんなに
気にしなくてもよさそうなのにな。
健康保険とか労災とか失業手当とか退職金とか?
そんな話ばっかしてくるんだけど
それはマリさんが決めることなんですよね。

なので急遽マリさんを召喚して事情説明。
マリさんは63歳さんと僕を交互に見ながら
僕に対してだけ、目線で
「お前正気か?」と訴えてくる。

僕もマリさんもどうしていいかわからず、
63歳さんのやる気だけは何故か伝わるので
「じゃあ明日から働いてみますか」と
つい言ってしまった。

僕達は面接で断る術を知らなかったのだ。
TOP

検索