僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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初老2
不安立ち込める翌日。


63歳さんの初出勤。
バーテンダーなんて僕が言うのも
おこがましいが、簡単な仕事なんです。
奥は深いし極めるのも難しいけど
仕事自体は誰でも出来る、簡単で単純なんです。

繰り返します、誰でも出来る仕事なんです。

カウンターの中に2人で立って
まずは僕の所作を見て一通りの流れを
覚えてくれ、と言いました。
63歳さんはこくりと頷きました。

本日のお客様第1号、ご来店。
僕にとっては見知った常連さんの1人で
近所の会社にお勤めの中年男性客。
とても明るく気さくな人です。

僕は「いらっしゃい」の挨拶とほぼ同時に
灰皿とコースターを男性客の前に揃えて
「何にします?」と注文を聞きます。
そして注文の品を作りながら世間話スタート。

「今日は早いですね。」
「そうなんだよ先方の段取りミスでさー
 仕事1つ明日に延期になっちゃって
 今日は早く上がっちゃったんだよねー」

お客さんの嬉しいような困ったような
表情を見ながら注文の品を完成させると同時に
つまみのナッツやスナックも小皿でお出しする。
ここからまた会話を続けつつ、次の客に備える。

そして10分後くらいに次のお客様ご来店。
2人組の男性客でこちらも常連さん。
近所の事務所で働くデザイナーさんらしい。
何をデザインしてるのかは知らん。

1人目の客との会話をプチッと切って
またもや「いらっしゃい」と同時に
2人の前に灰皿とコースターを並べ、
この2人はいつも大体同じものを頼むので
その準備もフライング気味に始めてしまう。

大体いつもこんな流れですよーと
一度63歳さんに向き合ってから
来店中のお客様3人に63歳さんを紹介しつつ

「では次のお客さんが来たら63歳さんが
 灰皿とコースターを出してみて下さい。」

63歳さん、小声で返事をしながら頷きました。
いよいよ3組目のお客様ご来店。
僕はいつも通り「いらっしゃい」とだけ言って
敢えてそれ以上は動きません。

3組目のお客様も常連さんで、
オーナーのマリさんの親の知人の初老男性。
比較的大人しく物静かなタイプの人で
お酒の飲み方もとても綺麗な人。

あれ?灰皿もコースターも出てない。
63歳さんは何してるの?と後ろを見たら
63歳さんも全く動かない。
僕さっき、説明しなかったっけ?

「63歳さん、灰皿とコースターお出しして。」
「ハイ」

63歳さん、灰皿2つ並べてました。
いやあのね、こっち灰皿、こっちコースター、
大きさは似てるけど形、全然違いますよね?

不安が過りながらも4組目のお客様にも
灰皿とコースターをお出しするという
簡単な仕事をお願いしてみたけども、
やっぱり動かない。63歳さん全く動かない。

僕が直接「63歳さんこれ出して」と
実物を渡して指示してからじゃないと
微動だにしないってどういうことなの?
これだけ説明しても動きの流れが
理解出来ないのだろうか。

こんなことが10組続いて、僕はちょっと考えた。
この人もしかして、物凄いポンコツなんじゃないか?
昔バイトでもいたけどさ、こういう奴。
しかしここまで動かない人は初めてだ。

本当は途中で63歳さんに一言言いたかったが
こういう日に限って店はどんどん忙しくなって
とても63歳さんに構ってる余裕もなくなり
その結果、63歳さんは数時間カウンターの中で
ただ立っているだけという不思議な状況が生まれた。

僕も指示するの面倒臭くなっちゃったんだよね。
「灰皿とコースター出して」って
5回も言えば充分だろ。
ていうか寧ろ根気強く指示した方だろ。
永遠に毎回指示しないと動けないのかよ。

この状況を見兼ねた深夜の常連のおばちゃんが
「ちょっと新人さん」と63歳さんに声をかけた。
因みにこのおばちゃん、悪い人ではないが
かなりハッキリ物を言うタイプ。
案の定、怒涛のお説教が始まってしまった。

63歳さんは大人しく、かつヘラヘラと
愛想笑いと小さ過ぎて聞こえない返事だけで対応。
あぁそんな不真面目な態度じゃ
おばちゃんもっと怒るよ~と思っていたらお察し。

63歳さんを庇いながらおばちゃんの怒りを宥め
その日は無事閉店。
なんでだろう、人手が増えたはずなのに
僕はいつもの3倍疲れていた。

店仕舞の後、63歳さんに挨拶をして
真っ先にマリさんに電話で報告。
しかし電話では物足りず結局その足で
マリさんの店に突撃。
その日あったことの全てを逐一報告。

話を聞いたマリさんとギャルさん何度も爆笑。
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