僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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花酒1
彼の誕生日からちょうど1ヶ月経った日に。

彼の職場に初めて行った。
やっと場所を教えてもらえたと言うべきか、
今まで聞こうとしなかった僕も悪いが
とにかくずっと知らないままだった。

敢えて聞かないようにしてたんだ、
何の根拠もないけど
聞いてはいけないような気もしていた。
いつか偶然にわかる日があればいい、
そんな日が来なくてもいい、と思ってた。

場所を初めて聞いたと同時に
一度来てみる?と本人から直接
言ってもらえたので、覗いてみることにした。
臆病者にも好奇心が無いわけではない。

その時僕は、緊張していたのか
舞い上がっていたのか今でも謎なんだけど
何故か、本当に何故か、あるモノを買って
持って行ってしまった。

「はいこれ。」
「何それ?」

「植物。」
「花だろ、なんだよそれ。」

「花でしょ。」
「だから、なんなんだって理由を聞いてんだ。」

彼の職場に来て最初の会話がこんな感じだった。
僕が買って持って行ったモノとはつまり花束。
いやほんと自分でもわけわかんないんだけど
多分、生まれて初めて買ったよ花束なんて。

ここに来る途中、花屋さんがあってさ、
いつも通る道で素通りするだけだったんだけど
何故かその日だけたまたま花が視界に入って
何となく気になってしまって、
綺麗だなとか思ったのかもしれないね。

それでフラフラ~と花屋に入り
店員に声をかけられてしまい
花のことなんて何も知らないから
なんとなく彼の好きな色の花を選んだら
なんとなく束にアレンジされちゃって。

それでこのザマですよ。
よく考えろよ馬鹿じゃないの、
職場に花なんて持っていくか普通?
どうすんの飾るの?花瓶あるの?
ただの水道水でいいの?

案の定彼の職場に花瓶なんてなかったので
空のペットボトルを代用。
何故こんな困らせるようなことを
してしまったんだろうマジで。

「なんで花なんか買ったの?」
「俺にもよくわからない。」

「お前そういうことする奴だったっけ?」
「さぁ、生まれて初めて買ったかもね。」

中身がまるでないふわふわしたトークが続く。
彼の表情は怒ってはいないけど、
どことなく困惑した様子が窺える。
そりゃそうだ、僕も困惑してんだから。

きっとね、何かプレゼントしたかったんだよ、
価値や実用性より気持ちが伝わりそうな物を。
でも不器用なんだね、何を買えばいいのか
さっぱりわからなくて
迷走し過ぎてこうなったんだ多分。

彼の職場、初めて来たけど
何て言うか、予想よりも凄くちゃんとしてた。
決して安定してるとは言えない道だが
彼なりにキチンと考え抜いて
真面目に生きてるんだなって感じられた。

今のところは順調だとのことなので、
他人事ながら安心したよ、安心が確信的になった。
それが知れただけでも来た意味は
あったかもしれない。花さえなければな。

僕が訪ねた時点で彼の仕事は終わっていた。
この日僕は休みだった。
普通の親しい友人ならこのまま流れで
どこかに行こうってなったはずだ。

僕は言えなかった。
そうしたいと思っていても
僕から言い出す勇気は無くて、
ずっと当たり障りの無い会話の受け答えばかり。
だって、フラれてるし。

「今日休み?」
「うん。」

「どっかで飯食う?」
「うん。」

彼から言ってもらうまでずっと待ってた自分、
正直死ぬほど格好悪いと情けないと思った。
しかもこの直後に余計な一言を言ってしまい
彼に呆れられる始末。
もう、本当にやだこんな自分。

「飯食うのって、別々?」
「はぁ?何言ってんの、馬鹿じゃないの。」

こちらが怯えていることを
完全に見透かされてるのは
しょうがないとして、
これ以上の失態は避けたいところ。

もう、どうしたらいいんだろう。
今日の俺何か変だ、いつも変だとか言わないで。
いつもより変なんだ、情緒不安定過ぎる。
自分で自分をコントロール出来ない。
ふわふわしたままプチパニック起こしそう。

お洒落な街の小洒落たレストランに入った。
もうメニューに並ぶ料理名からして
オサレオーラがえげつない、オサレで胸焼けしそう。

こういう所に彼女と来てるのかな、
そもそもこんな店、男2人で来る所じゃないね。
こんなとこにこんな俺なんか連れてきて
どうしようってんだよ。

「ここの店、よく来るの?」
「いや、初めて。前から気になってたんだけど
 機会が無くて。でも評判いいらしいよ。」

えっ、そうなの?なんだ、良かった。
って何が良かったなんだ、
別にどうでもいいじゃないか。
やっぱりなんか、今日の僕はおかしい。

「随分お洒落な店だよね、俺場違いな気がする。」
「さっきの花のお返し。だから俺の奢りね。」

うっわぁあ~ロマンティックー!きゃー!
流石魚座の男。オタな水瓶座には無い発想。
気障だけど女だったら落ちちゃうのかなコレ。
男だけど落ちそうだよどうしましょう。

そんなこんなで料理の味は
さっぱり記憶に無いよね。
不味くはなかったと思う多分。
最早何を食ったのかさえあやふやだよ、
なんでこんなにドキドキしちゃってんの。

腹ごしらえの後はどうするんだろう、
帰るのかな?続きがあるのかな?
この後ホテルのバーとか言われたら
今後コイツの事は石○純一と呼んでやろう。

正解は、渋いビリヤード&ダーツバーでした。
なんか、急にやりたいとか言い出すからさ、
一応僕も出来るしさ、しかも勝っちゃった。
ビリヤードもダーツも勝っちゃった。

なんかごめんなさい。
でも彼は怒っていない。
超絶負けず嫌いのくせに。

実は僕ね、鈍臭いように見えて
運動神経とかそんなに悪くないんですね。
モノによっては普通よりちょっと上手く
出来る方だったりもする。

学生時代はいつも隣に運動神経抜群な奴がいたから
自分は悪いのかと思ってたけど、
サトルと勝負したら大体僕が勝ってしまう。
以前の彼ならこれで不機嫌MAXもお約束だった。

「やっぱ勝てねーなー」

笑顔で悔しがる彼は可愛いくて、
何度勝負を挑まれても
僕で良ければと受けてしまう。
勿論毎回全力手加減一切無し。

楽しいなーと心が弾む。
学生の頃とは違う束の間の休息、
時間がこんなにも尊い物だったとは
昔は気付けなかった、随分と無駄にした。
僕の休日もあと数時間で終わる。

翌日の仕事の為に、睡眠時間を
確保しなくてはならない。
ちょっと無理すれば1日くらい
眠らなくても仕事は出来るんじゃないか。

まだまだ一緒にいたかった。
何時間でも、本音を言えば何日でも何年でも。
そんな願望を抱いているのは僕だけなので
次のことは僕からは何も言い出せない。

言い出せない代わりに、次々と
酒をおかわりし続けた。
注文が途切れたら帰るきっかけになってしまう。
実はバーのトイレでこっそり2回吐いた。

ビリヤードの休憩中、彼が小声で言った。
この後どうする?と。
店内のBGMや他の客達の雑音が消える。
どうしたいかなんて決まってる、
けど言えない、やっぱ無理だ言えない。

「お前まさか、やる気?」
「当たり前だろ。」

「えぇーマジかよ。」

黙ってしまった僕の代わりに言ってくれて
助かった話が早い!と喜べたのは一瞬だけ。
まさか「えぇー」と言われるとは。
いや、まぁ、そっかそうだよねーですよねー

じゃあじゃあじゃあ!
一緒にいられるだけでもいいから!
あと何時間?とにかく可能な限り出来る限り
時間が許す限り限界ギリギリまで!
お願いします何でもします言うこと聞くから!

「そっちが嫌なら何もしないけど。」
「ふーん、じゃウチ来る?」

行かせていただきます!
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