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僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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波乱日1
3月5日の話。
この日、僕の人生において
恐らく最も重大な出来事が起きた。


この日は僕の引越しの日だった。
ついに来た君との決別の日、新たな門出の日。
皮肉な言い方だけども、待ちに待った念願の日。
君に何も告げずに出て行くはずだった。
やっぱり言えなかった。

ところが君はその日、僕の家の前にいた。
引越し業者のトラックの横で、運び出される荷物を
ただ黙って眺めていた。
そんな君を見て、罪が発覚した犯罪者の気分を味わった。

無視するわけにもいかず、僕は「どうしたの?」と尋ねた。
君は僕の質問にはっきりとは答えてくれなかった。
その代わり「どこ行くの?」と逆に尋ねられた。

僕は答えるつもりは無いと、無言で答えた。
そしてそのまま無言で引越し作業に取り掛かった。
君は堪えていた感情を剥き出しにして僕の肩を掴み
「俺お前に何かした?」と僕を強く見据えて捲し立てた。

「俺が何かしたんなら言ってくんない?謝りたいしさ。」
「別に何も。」

「じゃあ何で何も言わないんだよ、説明しろよ。」
「謝ることも説明することも無いよ。」

僕と理由について話しても埒が明かないと悟ったのか、
君は大きく溜息を吐いて、続いて僕に強い衝撃が走った。
一瞬何が起きたのか理解出来ず、身体が硬直したまま
何故か君の顔が至近距離にあって、背中の痛みに気付いた。

胸ぐらを掴まれたまま、壁に強く押し付けられ
「てめぇ何だよその態度!」と今にも鼻先が触れそうな
至近距離で、腹の底から響くような声で怒鳴られた。

周囲の視線なんか目もくれず、君は僕だけを真っ直ぐ見てた。
居た堪れなくなり、僕は君から視線を逸らした。
どうせ抵抗したって敵いそうもないし、抵抗する気力も無い。

「何しに来たんだよ。」
「お前卒業しても地元残るって言ってなかったっけ。」

「しょうがないだろ、急に決まったことなんだから。」
「何で嘘吐くの?お前ずっとそうやって俺に嘘吐いてんな。」

「嘘って何が。」
「進路も教えねぇ、引越しも言わねぇ、いきなりな訳ないだろ。
 お前ずっと前から自分で決めてたんだろ。何で隠すの?」

何でわかったんだろう、ずっと前から決めてたって。
もうどうにもならないんだから、放っておいて欲しかったのに。

「何でいつも俺から逃げようとすんの?」この君の一言で
全身のあらゆる力が抜けて、自分に抗う力も抜けて、
もうどうでもよくなってしまった。
何もかも、今までも、全部。

君が「何か言えよ」と言い終わらない内に
僕の本音がするりと抜けた。

「好きだから」と、初めて本心を吐き出した。
自分の感情の赴くままに、身体がリモート操作されてるように
次から次へと本心が溢れ出した。不思議と涙は出なかった。

「ずっと好きだったから、お前のことずっと好きだったから
 もう耐えられなくて、辛くて、だからもう放っといてくれよ。」

いつの間にか君は僕の胸ぐらを掴む手を離してた。
それすらも気付かない程、僕は放心状態だった。
でも、次に君から聞いた言葉が、僕の心を目覚めさせた。

「知ってるよ。」

心は目覚めたけれど、代わりに脳の回路が全てショートした。
え?知ってるって何?何で?ていうか何?え?嘘、何で?
と、脳内に疑問が物凄い勢いで駆け巡った。

心臓も破裂するんじゃないかというくらい高鳴って、
手先や膝が震えだした。動揺を隠す余裕も無かった。
君は動揺して立ち尽くすだけの僕を他所に、更に言葉を続けた。

「つーかさぁ、俺わかってたんだよね、お前が地元残らないの。
 お前地味に俺のこと避けてたしさぁ、何か隠してる感じして。
 実は昨日もお前の家来たんだよ。いつ出て行くのか気になって。
 でも直球で聞いてもお前絶対嘘吐くじゃん?
 まぁその辺話すと長くなるんだけどさ、だからちょっとどっかで
 話さない?ていうか引越し屋困ってるみたいだけどいいの?」

そうだ、引越し。と我に返ってそちらを見たら
非常に気まずそうにこちらの様子を伺う業者さんが見えた。
新居の鍵は僕が持ってるし、僕が先に現地に着かないと
引越し屋は立ち往生することになる。

急いで引越し屋のトラックに駆け寄り、住所の確認と
今後の段取りをさらりと取り決め、引越し屋を見送った。
後は僕が、現地に赴くだけだった。

「なぁ、新しいお前ん家連れてけよ。どうせあっち
 早く行かなきゃならないんだろ?そこで全部話そう。」

君はさっきまで何事も無かったかのように、
普段通りの優しい口調で僕に話しかけてきた。
僕もついつられて、普段のモードに切り替わっていた。

「いいけど、結構遠いよ?」
「えーマジ?俺財布持ってねぇ、交通費立て替えといて。」

「家に取りに戻れば?」
「ふざけんなよ、お前それでばっくれる気だろ。」

ごく自然に、笑いながら会話が進み、僕は何故か君を連れて
僕の新居に案内することになった。

頭のどこかで「何かがおかしいぞ」と疑問が沸いたけど、
どうでも良くなってた。そんなことより何より、
君の「知ってる」って言葉がとても気になって、
それどころじゃなかった。
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