FC2ブログ
僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

06 │2019/07│ 08
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

新記事

全記事

全タイトルを表示

月別記事

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

TOP
波乱日2
3月5日の話その2。


僕は君を連れて地元を後にし、新居へと向かう為
電車に乗り込んだ。時間にして約2時間の長い道のり。
地図で見たら同じ関東だし、さして距離は感じないけど
実際移動するとなると軽く嫌な距離。ちょっとした旅行だ。

電車に揺られる中、僕と君は一切口を利かなかった。
別にお互いに腹を立ててるわけでなく、
全てはこれから向かう地で、という暗黙の了解が2人にあった。
そういう腹の内はもう、長年の付き合いでわかってた。

リアルぶらり途中下車の旅の末、目的地の駅に辿り着いて
僕と君は無言で視界に入ったコンビニに真っ直ぐ向かった。
こんなこともいちいち言わなくてもわかってしまう。
2人ともそこそこ腹は減っていたし、何より長丁場になりそうな
予感がしていたので夜食も2人分買った。

駅から徒歩数分の距離に聳える
こじんまりとした半地下マンション。
その2階の一室が僕の新居になった。

引越し作業を2人で手伝い、仕事を終えた彼らを見送り、
何も無い部屋に無機質な箱と2人だけが取り残された。
今すぐ使える家具はベッドのマットレスとTVだけ。
元々僕の持ち物はそれ程多くはない。

とりあえず電気ガス水道の確認とTVの配線だけを黙々とこなし
コンビニで買ったうどんを2人分調理し、2人で黙々と平らげた。
腹が満たされたあたりで、僕から話を切り出した。

「さっきの続きなんだけど。」
「あぁ、うん。どこまで話したっけ?」

「知ってるっていつから?俺そんなにわかりやすかった?」
「いや、普段じゃ全然わからん。俺以外誰も知らないんじゃね?」

「じゃあ何で?」

どうでも良くなっていたとはいえ、流石に緊張した。
どんな答えが返ってくるか予想もつかなくて、不安で一杯だった。

君は缶ビールを片手に煙草を片手に一息置いて、
「言い難いんだけど」と前置きした。

僕は更に腹を括った。
君がこう前置きする時は決まって
次に衝撃的なことを言うからだ。
それも長年の付き合いでわかってた。

「あのさ、イブの日さぁ、ぶっちゃけ俺起きてたんだよね。」

僕は驚きのあまり煙草の煙を喉に詰まらせ咳きこんだ。
そして身体が動揺で硬直して、徐々に気恥ずかしさに蝕まれた。

あ、え、マジっすか。うわ、え?イブって何?アレか。
うっわ~超気まずい、それ超気まずい!
パニックで頭も心臓も爆発寸前。

激しい動揺で微動だに出来ない僕には敢えて視線を向けず、
君は吹っ切れたかのように一気に語りだす。

「あの時駅で電車待ってたじゃん、結構。でさ、最初は本当に
 眠かったんだけど寒さでちょっと覚めちゃって。
 でも暇だし疲れてたしちょっと寝とこうと思って
 ウトウトしてたら何つーかさぁ、ねぇ。
 俺も気まずくなるの嫌だったからその時はスルーしたけど
 あれからずっと気にはなっててさ、一回ちゃんとお前に
 聞きたかったんだけど、ずっと言い出せなかった。」

この間、僕は指一本、毛先一本も動かせずに聞き入っていた。
もう嫌、死にたい。穴があったら入りたい。
寧ろ今からでも遅くないなら自分で掘って埋まりたい。
この世から僕を抹殺したい、恥ずかし過ぎて消えたい。
あれから悩んだ俺の数ヶ月間は一体何?誰か返して。

もう言葉も出ない。何故かその場で頭を抱えて蹲る。
君の声が遠かった。遥か彼方だった。心臓の鼓動も煩すぎた。

「いつか聞こう聞こうって思ってたんだけどさぁ、
 お前暫く俺のこと軽くシカトしてた時あったろ。
 だから余計言い難くなって。そんでいきなり何も言わずに
 引越しとかってありえなくねぇ?もうマジ腹立ってきて、
 お前の親にも電話しようかと思ったもん。」

「いや、タク悪くないし、怒るのもわかるし、こっちこそごめん。」
「ですよねぇ。つか何で俺避けてたん?」

「さっき、言った通りです…」

流石にもう、あんな台詞を何度も言う気にはなれなかった。
体育座りで頭抱えて、頭の中で「誰か助けて」と泣き叫ぶ。
これまで僕らは一度も視線を交わらせることも無く会話してた。

「やっぱマジなの?敢えて聞くけど、俺のこと好きなの?」
「マジじゃなかったらここまでしねーって。」

「ダチとしてじゃなくて?」
「うん。」

「何で?」
「わかんねぇ。」

「いつから?」
「俺が転校してきた時くらいから。」

「マジで?!小坊からかよ。すげ~年季入ってんなぁ、おい。」

もうどうしたらいいのかわからないので、
君の質問に淡々と答えるだけの僕だった。
君の反応が意外にも軽かったのがせめてもの救いだった。
君にも考える時間が沢山あったから、
冷静に受け止められたのかもしれない。

外はもう暗く、春先とはいえ部屋は寒い。
家具が殆ど無く、生活感も何も無い無機質な立方体の中。
外の音も殆ど聞こえない。TVも点けそびれてしまった。
まるで世界に2人しかいないような静寂の中で、
君と僕の間に奇妙な空気が流れる。

めちゃくちゃ気まずくて、今すぐにでもこの場から逃げたかった。
でも今更逃げ場なんか無い。
僕はこの恥ずかしく気まずい質疑応答地獄に
ひたすら心を無にして耐えることで精一杯だった。
本当に生きた心地がしない環境を味わっていた。
TOP

検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。