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僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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波乱日4
3月5日の話その4。最終記事。

こちらの本心がバレてしまった以上、
もう僕の感情は歯止めが利かなくなってしまっている。
君をどうにかしたいというのは無理だとわかっていても、
好きな気持ちは止められない。

「俺明日から一人ですげぇ寂しいじゃん。
 皆殆ど進路決まってて俺だけ浮いてるんだよ?
 これが結構心に地味に染みるんですよ。わかります?」
「すみません…」

僕が悪いのかどうかもよくわからなかったけど、
とりあえず謝ってしまった。そもそも僕が引っ越そうが何しようが
僕の自由と言えば自由なはずなんだけど。
でも君の寂しさもわかるから、そんなこと言う気にはなれない。

「そう言えばここの家賃って誰持ち?」
「家賃と学費は親の口座から自動引き落とし。
 俺は殆どノータッチ。でその他の生活費は
 俺がバイトするってことで何とか。」

「それ、折半しない?」

この時点で何となく君の考えが読めた気がしたけど、
いや、まさか、それはちょっと、ありえないだろ。

「この部屋何気に広くない?一人くらい増えても平気じゃね?」
「え、いや、猫もいるし。実質3人暮らしだから。」

「3も4も変わんなくない?」
「いやいや、無理無理。」

「えーいいじゃん、俺もここ住む。てか居候させて。
 んで俺もこっちでバイトすんの。それで生活費折半。
 金が貯まり次第俺も自分で部屋見つけるからさ。
 つか俺も家出ようと思ってたのは言ったじゃん?
 でも引越し金掛かるし場所もどうしようとか
 思ってたんだけど、ここ来ちゃえば調度良くね?
 お前もいるし。いや~マジ助かった~♪」

途中から読めたとは言え頭が痛くなった。
マジありえないこいつ。何この行動力。
ていうか何この展開、同居って。それは何?襲っていいの?
この状況で普通来るか?ほんとありえねぇ。

「バイトどうすんだよ、あっちでまだやってんだろ?」
「家庭の事情で急なんですけど今月一杯で辞めますって言う。」

「お前、バカじゃないの?こんなとこ来るか普通。」
「何その今更。俺と何年の付き合いだよ。」

「ふ~ん、じゃあ掘られる覚悟はあるってことですか。」
「あ、それは無理。流石に無理。俺の許容範囲を超えてる。」

「じゃあ来んなよ。」
「ずっとじゃねーから、マジお願いしますよ。
 な?いいだろ?はい決まり。」

駄目だ、やばい。君は一度決めたことは必ずやり遂げる。
こういう時の君に、僕は敵う自信は無い。
こちらはもう呆れて二の句が告げない。無駄な抵抗も諦めた。

「とりあえず俺明日の夜あっち戻って、明後日バイトで
 店長に相談するわ。んで今月の給料入ったらその金で
 こっち来るから宜しく。」

「お前、本当にそれでいいの?平気なの?」
「何が?」

何が?と逆に聞かれて、心が痛み出す。
本当に何とも思ってないのかな?
自分が張った予防線は無意味だったのかな。

それなら喜ばしいことだけど、君はまたいつものように、
僕に気を遣って自分を偽っているのではないかと不安になった。
そして君の思いやりを無視するかのように、
また更に予防線を張ってしまう。

「気持ち悪くないの?」
「まだ言うのそれ?」

この時この日で初めて、僕は君の顔を見た。
君と一瞬視線が絡んで、すぐに目線を煙草を持つ指先に向けた。
視界の隅の方で、君が呆れた顔をして僕を見つめるのがわかった。

「お前、もしかして今までずっと自分をそういう風に思ってた?
 可哀想な奴だな、考え過ぎ。誰が誰をどう好きになろうと
 そいつの勝手だし、治そうと思って治るもんじゃないだろ?
 病気じゃないんだし。
 俺は今トヨがいなくなったら困るんだって。
 お前俺に合わせるって、さっき自分で言っただろ。」

「そりゃ言ったけども」

「とりあえずもう、自分を気持ち悪いとか言うのやめろ。
 思うのもやめろ。俺は思ってないし、お前は親友だから。
 これから先人に何言われても絶対気にすんな。
 うざかったらぶっ飛ばせ。
 お前は全てにおいて悪い方向に考え過ぎ。」

この時涙は出なかったけど、今まで自分に向けられた
どんな言葉よりも一番嬉しかった。泣きそうだった。

世間じゃ病気扱いする奴もいたりするのに、
君は何の知識も無いのに真っ直ぐに「病気じゃない」と否定した。
自分で張った予防線が、裏目に出て逆に叱られる羽目になった。

それすらも嬉しくて、嬉しすぎて、本当に君に出逢えて良かった。
世の中が全部、君のような人ばかりだったらいいのにね。

この日はもう電車も終電を過ぎて、君はそのまま家に泊まった。
僕は焦りはしないかと内心冷や冷やしたが、
君がいつものペースを崩さずに接してくれたので
いつもの、僕の部屋でまったりする雰囲気のままで過ごせた。

今までと何も変わらない、君が地元に帰る時まで、
かつて繰り返されてきた穏やかな日常の一コマがそこにあった。
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