僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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門出
貴女の幸せを心から祈る。

前職でずっとお世話になっていたマリさんが
故郷に帰ると知らせてくれた。
もう東京には戻らないって。
だから帰る前に一度、僕と会って話がしたいと
連絡をくれた。サトルの入院中だった。

久し振りに会えたマリさんは、かなり印象が
違って見えた。髪型が変わり服装が変わり
多分メイクも変わった。夜の匂いがしない。
女の変身力えげつないな。

一方で僕の評価は「全然変わってないね」
はい、自分でもそう思います。
顔は高校生くらいからずっと変わってないです。
でも脱いだら変わったはずですよー
筋肉いっぱいつきましたよー

恋愛感情ではないけど、僕はこの人が好きだった。
だからこそ多少自分の身体に鞭を打ってでも
支えたいと思った。その気持ちは今も変わらない。
当時の想いが少しでも届いていたから
このタイミングで会いたいと思ってくれたのかな。

2人の馴染みの店が無い街でハズレ飲屋を引くのは
避けたくて、僕もマリさんも飲屋の質には
若干煩い方だから。何て話しながら結局入ったのは
超有名チェーン店「○貴族」だった。

拘りはあるけれどもドンピシャが無い限り
アレコレ悩むのも選ぶのも面倒臭くなって
最後は自棄糞気味にそれまで候補に
かすりもしなかったものを選ぶっていう流れ、
僕とマリさんの間でよくあったヤツだ。

マリさんから連絡があって故郷に帰ると知った時、
堤防が決壊したかのように涙が溢れた。
誰もいない自宅でだったから誰にも見られずに
済んだけど、実際会ったらどうなるかと
内心穏やかではいられなかった。

店に入り席に着き互いの近況報告までは
軽くはしゃぎながらも落ち着いていられた。
でも次第に報告することがなくなると、
胸に込み上げた熱さに気付き始めた。

マリさんいなくなっちゃうんだ、
もう会えないんだ、今までだって仕事変えてから
会ってないどころか連絡だってしなかったクセに、
でもそれは近くにいたから、いつでも会えるって
安心してたから。

いやいや落ち着け、故郷とはいえ同じ国内だろ?
本気で会おうと思ったら会いに行けるし
別に死ぬわけじゃないんだし、連絡だって
簡単に出来るだろ?それをしなかったのは自分だろ?
僕の日常は何も変わらないはずだろ。

なのにどうして、それだけのことが
こんなにも胸を締めつけるのか。痛い痛い。
たかが、されど、どちらにせよ僕は
マリさんと共に働いていた時から変わったようだ。

こんな感情がまだ自分にもあったんだな、
サトルのお陰かもしれないな、
マリさんのこと、好きどころか
大好きだったんだな、だってこんなに悲しいから。

話の途中で鼻をすすりだす僕を
マリさんは表情を変えずに黙って見守る。
気持ちを察して汲んでくれているのかな、
大人の優しさなのかなこれ。

目頭の熱さに負けてついに言葉を発することが
出来なくなった僕に対して
ふわりと触れるか触れないかの感覚で
頭を撫でて「トヨ君ありがとね」と一言だけ
呟くように返された。

「本当にいい子だから、幸せになってね。」
「マリさんこそ幸せになってください。」

会話が噛み合ってるような合ってないような、
何となく社会のレールから外れた者同士が
隅っこで慰めあってるような状況が
滑稽でありながら温かかった。

マリさん、美人だし優しいし経営者としても
立派だったし、賢くて逞しくて頼りになって
尊敬もしてたし、可愛いとこも沢山あるのに、
どうして今独りなんだ、こんな素晴らしい女性が。
世の男達は何を見てるんだ?

そんなシンプルにはいきませんよね、
わかります愚問でした。
でも不思議でしょうがない、いや納得いかない。
貴女が幸せになれなかったら許せない。
そんな理不尽な世界に怒りすら覚えそうです。

「よく言うよね、女の子好きになれないクセに。」

それ言われるとしんどいんでやめてください。
何も言い返せない上にマリさんに同情的な自分に
陶酔してるみたいな気持ち悪い奴みたいな!
違いますよ、違いますからね、違うのかな?

でもマリさんだってね、僕と結婚しろと言われても
無理でしょ?弟とか息子みたいな感じでしょ?
ほら一緒ですよ、気持ちわかるでしょ?
異性の家族の幸せを願う気持ちみたいなものかな、
多分世の中で最も近い感情はそれですよね。

本人には一切言わなかったけど
マリさんに対してずっと思ってたことが
あるんです。僕の勝手な願いなんですけど
あまりに勝手過ぎて失礼なぐらいだから黙ってた。

マリさんには子供を諦めて欲しくないなって
勝手に願ってたんですよ、どれだけしんどいか
どれだけ難しくて負担が大きいかとかね、
現実見たら軽々しく口に出来ないでしょ。

でもマリさんの人生一番の願いはそこでしょ?
マリさんなら絶対素敵なお母さんになれるし
マリさんに育てられる子供は間違いなく幸せだと
メイサちゃんを見て常々思ってたんですよ。
2人共素敵な女性だから、本当に。

こういうことも残酷になりそうで
今まで一度も言ったことなかったけど。
僕の勝手な想像だしさ、わざわざ言うことじゃない。
一体神様は何を見てるんだろうな。
バカなのかな。

マリさんは何故かこんな僕のことを
いい子だとか可愛いとか言ってくれる。
多分、僕の人生の中で一番、上の立場から
僕を褒めてくれた人だ。
マリさんに褒められたお陰で自信を覚えた。

勿論仕事でも沢山褒めてくれたし、
駄目なことはちゃんと駄目だと、
どうして駄目なのかを説明してくれたし、
一度任せられた仕事はきっちりやらせてくれるし、
この人は人を育てるのが上手いんだよな。

自分は器用貧乏で使えない人間だと思ってたから
案外そうでもないのかな?と思わせてくれたのは
間違いなくマリさんのお陰ですよ。
マリさんだけではないけど、マリさんの影響は
かなり大きい。上から褒められるって強い。

叱られたことも結構あった気がするんだけどね、
思い出してもどれもそんなに嫌じゃないんだよな。
マリさんの言ってることの方が正しいねって
当時の僕も思ってたしね、叱られながら。
同じ過ちは犯さなかったから毎回許されてたな。

一期一会とは、よく言ったもんだね、身に沁みた。



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