僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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血3
その日いつもの帰り道、君はいつも通り
僕の部屋に立ち寄った。

あまりに自然な流れだったから、僕もうっかりしていた。
今日はとにかく疲れていた。疲れすぎてた。
極度の寝不足と精神疲労、こんな状態での隠し事は
何もかも裏目に出るに決まっていた。

僕の部屋で寛ぐ君を残して、制服から着替えるために
少しの間部屋を出た。そして着替えを終え部屋に戻り
君から漂う怪訝な空気に、気付いた時にはもう遅かった。

「お前の部屋のゴミ箱、何だよあれ。」

目の前が真っ暗になった。
と同時に疲れがどっと波のように押し寄せる。
ゴミ箱の中身を確認するまでもない。寧ろ見たくない。
今朝の後処理が疎かだったと、朧気な記憶が脳裏に蘇った。

止血用の布として、暗闇の中掴んだ着古した僕のTシャツ。
腕の付け根を縛ったタオルと、床や家具を拭いたタオル。
刃が出しっ放しのカッターナイフ。染みの付着した衣服。
あらゆるゴミが今では赤黒く染まっているものの、
血塗れなのは一目瞭然。
これらの全てが無造作に、ゴミ箱に放り込まれていた。
幸いゴミの中を漁られてはいないようだったけど
こんなグロテスクなゴミ箱を漁るのは誰でも躊躇するだろう。
しかも改めて見るとなかなかの出血量のようだった。

「手が滑ったか?そんな訳ないよな」

君はこちらを見ないまま、低い声で言い放つ。
声から静かな怒りとも悲しみともとれる感情を漂わせる。
僕は下を向いたまま、ずっと黙っていた。
言いたくても、何も言えない。言える台詞が見つからない。
黙り続ける僕に、君は詰め寄って畳み掛けるように質問をぶつける。

どうした?何があった?何でこんなことしたんだ?
死にたかったのか?また今日にでも同じことをするのか?
どうして何も言わないんだ?俺じゃ相談するには頼りないか?
俺はお前に信用されてないのか?

思い出せるのはこれくらいだけど、他にももっと言われてたと思う。
僕はかなりの焦りと動揺で、本能的に意識を閉ざして
君の声の届かない場所に逃げてしまった。

僕が我に返った時、君は僕の腕を強く掴んだまま、涙を零してた。
僕自身も目が熱く痛かった。僕も泣いていた。
今思えば僕は、この時初めて人前で泣いた。
君が人前で泣いているのも、この時初めて見た。
状況を理解した途端、君に対する罪悪感で
また更に涙が溢れたのがわかった。

決して本気で死にたかった訳では無い。
その時のことはあまり記憶にないけれども
現実が辛過ぎて、逃げる術が“死”しか思いつかなくて
少しその気分を、味わいたかっただけだと思う。
一瞬でも解放感を味わいたかった、ただそれだけだと思う。

君が最後に泣きながら「何で俺に何も言ってくれないんだよ」と
言われたことが申し訳なくて切なくて
やっと僕の重い口が自然に開いて
零れた言葉は小さな「ごめん」だけだった。

「何で俺に謝るんだよ、謝るなら話せよ、お前おかしいよ」

溢れる雫を潰すように手で目を押さえて、君は僕に囁くように言った。
凄く切実な想いが伝わってきて、自然に口から言葉が漏れた。

「ごめん、もう絶対しないから、こんなこと」
「じゃあ何で昨日はしたんだよ、馬鹿かお前は。
 お前何も言ってくれねぇじゃん、ダチだと思ってた奴に
 何も話してもらえなくて、いきなり自殺なんかされて、そういう
 俺の気持ちとか考えたことあんのかよ。お前にとって俺って何?
 ダチじゃねぇのかよお前、そう思ってたの俺だけってオチか?
 もう、ほんとふざけんなお前は。」

一気に捲し立てた君だったけど、言葉や表情や眼差しから
優しさとか強い情のようなものが伝わってきて、心底申し訳無いと
反省させられた。自分の馬鹿さ加減を恨み、君の純粋さに感謝した。
君をこんなに悲しませるようなことはもう、2度としないと
どうすれば伝えられるか考えた。

「自殺なんかじゃないんだ、死ぬ気は更々無いから。
 そんな勇気ないから、安心して。
 その、自分でもよく憶えてないんだ、昨日の事は。
 でももう、自分でも後悔も反省もしてるから、二度としないから。
 あと理由はまだ、話せない。ごめん。でもいつか話せるように
 なったらその時はちゃんと話すから、俺の言うこと信じて。」

泣きながら喋ったから、ちゃんと伝わったかどうか不安だった。
君は一応は納得してくれた。というより僕を信じてくれた。

君とは今まで一度も、喧嘩らしい喧嘩をしたことが無かったから
こんなに感情剥き出しで取り乱した姿を初めて見た。
しかもまさか僕のことで、君が泣いてくれるとは思いもしなかった。
僕のことを本当に大事な友人だと、思ってくれてるとわかって
嬉しいと同時に小さな罪悪感に胸の奥をちくりと刺激される。

しかも僕は相変わらず、君の質問の肝心な部分には答えていない。
そして本当は話す気なんて無いのに、また嘘を吐く。
それでも「わかった、お前を信じる」とだけ言って
鼻水を思い切り啜る仕草が愛しく感じた。

泣かせてしまってごめんなさい。嫌な物見せてしまってごめん。
親友なのに隠し事ばかりでごめん、何も言えなくてごめん。
この期に及んで嘘吐いてごめん、心の中でしか謝れなくてごめん。
もし本当に言う時が来たら、その時はもう二度と会えない時だ。
こんな嫌な奴なのに、ずっと友達でいてくれてありがとう。
最後に君は「今は聞かないけど、いつか話して」とだけ言って
それ以上はこの話題について触れなかった。
でも「また馬鹿な考え起こさないか心配だから」と言って
そのままうちに泊まっていった。照れくさいけど嬉しかった。

それ以来、流石にこんな馬鹿な真似はしてない。
今のところは2度とする気も無い。全部君のお陰だ。
本当に心底反省してます。

テーマ:★過去を振り返る★ - ジャンル:恋愛

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