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僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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童話
創作童話「森の子」

森に1人の子がいた。
暗く深く暖かい森にたった1人、
名もなく親もなく時もなく生きる子がいた。

子は自分が生まれた存在だと
いうことを知らない。
子は自分が何者なのかも知らない。

知っていることは、森での生き方と
森の仲間の言葉だけ。
それがその子の世界の全て。

森の仲間が子に教えた。

この森は大きな世界の1つだと。
だから森の外にも更に世界は存在していて、
そこでは子に似た生き物が沢山生きていると。

子と同じく森の外を知らない仲間もいた。

森の外を知る仲間は、主に空を飛べる小さな仲間と
遠くまで走れる強い足を持つ仲間と、
動かずとも身体が地から空まで届く大きな仲間。

子は仲間達から森の外の話を聞くことが好きだった。
けれど自分が森から出ようとは考えなかった。
子は森が大好きで、その世界だけで満足していた。
森には子の敵もなく、子もまた森の敵にはならなかった。

森の外の話は子にとって刺激的で興味深く、
その反面とても怖いと子は常に感じていた。
森の外に出て、帰って来なかった仲間が
いることも子は知っていたから。

そんな森の子にある日、外の世界を
垣間見られる機会が訪れた。

森の子の棲処は森の最も奥深く。
その近くで怪我をした森の仲間と
更に大きな怪我をした子に似た生き物が倒れていた。

子は森の仲間に対し、森一番の器用な手付きで
傷の痛みを取り除こうとした。
自分も同じ怪我をしたことがあるから、
どうすれば楽になれるのかを知っていた。

隣に倒れている子に似た生き物を、
子は恐れてまず無視をした。
一瞬で自分と同種族だとも悟った。

子は仲間の怪我の原因が、この生き物だと考えた。
何の為に森の仲間を襲った?食べる為?
子にはその原因しか思いつかなかった。

ということは、自分も仲間を食べる性質の
生き物だったということなのか。
そんなこと、森の仲間は誰も教えてくれなかった。
子の胸中はしきりにざわついた。

子に似た生き物は子が自分の仲間だと思ったのか
様々な鳴き声を子に投げ掛けた。
子は意味もわからずどうすれば良いのかもわからず、
森の外の世界を知る仲間に尋ねた。

仲間は子に教えた。

彼らは「ヒト」という生き物で、
森の外で沢山の仲間を集めて暮らし、その殆どが
森の仲間をあらゆる方法で食べる性質の生き物だと。

そしてヒトは森の中でたった1人では
生きていけない、とても弱い生き物だと。
集団になれば森の仲間にとって、
最も敵になりやすい強い生き物だと。

森の仲間はその日まで、子に「ヒト」の名と生態を
教えていなかった。皆で暗黙の了解の中隠していた。

子はあくまで子であり、ヒトでは無い。
それが森の仲間達の下した決断だった。
だから子は、森の中でもたった1人で生きられた。
子は森の仲間に生かされてきたのだと、改めて悟った。

子は初めて出会ったヒトに不思議な感情を抱いた。
その感情が何だかよくわからないうちに、
ヒトは子の前で息絶えてしまった。

子は肉を好む仲間を呼び、ヒトを食わせた。
それは子が森から学んだ森の掟。
この時、子も腹が減っていた。
しかし自分はその肉を食べようとは思わなかった。
子は肉を食べる術を知らなかったから。

ただ呆然と、自分と同じ生き物が仲間に
食われる様を眺め、千切れて小さくなる
ヒトの身体に自分を重ね、沢山のことを考えた。

自分が今森の中で、何故生きていられるのか?
自分はどうして森の中にいるのか?
自分はどうしてヒトなのか?
ヒトは何故この森に来たのか?
自分は森にいつまでいられるんだろうか?

子は何日も何日も考えた。
森の仲間に聞いても、誰もわからなかったから
ずっと1人で考えていた。

森の仲間の言葉はわかるのに、何故同じ身体を持つ
ヒトの言葉は理解出来なかったのだろう。
ヒトが自分へ向けた悲痛な鳴き声は、
きっとヒトの言葉だったに違いない。

何故自分はわからない?同じヒトなのに。
一体どんな意味の言葉だったんだろう。

子は生まれて初めて森の外に興味が沸いた。
それと共に深い深い謎の迷宮に陥り、
子は眠れない夜を手に入れた。

子は謎が怖くなり、謎と戦う為に
森の外に出ることを決意した。
森の仲間には告げずに、1人で決めた。

その時森の子は、自分が最初から最後まで
ずっと1人だったと知った。

テーマ:頭ん中 - ジャンル:恋愛

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コメント閲覧

あら。いいじゃん、この童話w
言葉って何? 仲間って何?
生きること、生かされること。
閉じた世界と、開いた世界。
いろんなことを考えさせられる含蓄ある物語だったわ。

森の外に出た子はどうなるのでしょうね?
できればここから先は読者の想像力に委ねたいわね。

それにしても。
プチカニバリズム。
どーした? また悩みでも抱えてる?
それとも性欲溜まってんの?(笑
【2007/01/28 23:35】 URL | 沙羅 #eHP7HEy2 [ 編集]


「私は誰なのか?」というアイデンティティの問いを
心に抱えた時にはじめて、「孤独」という感情と
向き合うことになる・・・純度の高い表現の中に
埋め込まれたこの考察に、一瞬息を飲みました。
【2007/01/31 01:50】 URL | むさし #Xc0NQG7Y [ 編集]

>沙羅さん
沙羅さんこんばんは。
書いた本人、含蓄って何?どこ?状態なので
返信に少々梃子摺っております。
えっと、えっと、うううう…
なんとなーく書いたらなんとなーく
こんなのが出来ちゃったんですが、
なんとなーくでカニバってしまうあたり
僕の人間性がとてもよく現れているんじゃ
ないかと思います。
カニバリズム志向って性欲が溜まってるとか
悩みがあるとそういう傾向に向かうんですか?
僕が望む最高の死に様は虎に食われることです。
【2007/02/01 18:09】 URL | toyo #- [ 編集]

>むさしさん
むさしさんこんばんは。
えっと、どうして一瞬息を飲んだのかな~と
息を飲むってどういう意味かな~と
あまりに感覚だけで書いてしまった記事なので
読み手が何を感じるか、とか全然考えてなくて
今どう答えたらいいのか戸惑っています。
「結局最も頼りになるのは自分」と常日頃考える
僕の脳に童話を書かせたら、こんな具合に。
【2007/02/01 18:10】 URL | toyo #- [ 編集]

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