僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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朝靄4
前記事の続き。


昼近くに寝たお陰で2人が目覚めたのは
がっつり夜だった。
これじゃサトルの買い物は無理だねってことで
僕の誘いだった飲みに真っ直ぐ向かった。

鶏料理専門の居酒屋で、置いてる酒は
日本酒や焼酎が殆どという店だった。
客層は40代以上の男性サラリーマンばかりで
僕らはちょっと浮きそうだったけど、
ここの鶏皮サラダと鶏刺身が美味しいんだ。

カウンター席の端が調度空いてた、僕が座りたかった所。
席が2人分だけ仕切られてて他の客からは
こちらがあまり見えないような造りになってて
落ち着いて話しながら飲めるかなと思ったんだ。

サトルは「こんな店知ってるんだ、意外だ」と
「鶏皮サラダ美味い」って言ってくれたっけ、
教えた店を褒められたり気に入ってもらえたりすると
嬉しいよね、絶対。

店の端で個室風に仕切られたカウンター席は
他の客も店員も気にせずに酒を飲める
予想通りの極上空間だった。
そのせいか、サトルがついに本気を出してきた。

「ねぇ、試しに付き合ってみない?」
「いきなりその話かよ!」

「まずは試しで!ダメだったらさくっと終わりでいいし?」
「こういうとこでそういう話はちょっと、」

「なんでダメなの?やっぱ男同士だから?」
「もう、お前ちょっと黙っとけ。」

もうず~っとこんな調子。
いくら仕切りで隔離された席だからって
完全な個室ってわけじゃないのにさ、
人目や耳が気になるからイヤだって言ってるのに
ずぅぅっとこんな調子で押して押して押しまくる。

「ダメだこりゃ、さっさと帰ろう」そう思った時
彼の勘がいい感じに働いたのか
急に「わかった、大人しくする」だって。
でも会話の内容は殆ど変わらない、
ただ声が小さくなっただけ。

僕が気にしすぎなんだろうか?
あまりにも周囲を気にしない彼の神経の太さが
とてもじゃないが信じられない。
周りから変な目で見られるかもしれないって
全く考えてないのか、それとも本当にどうでもいいのか。

しかも聞いててこっぱずかしいのがさ、
僕とサトルって口説き方が似てるらしいこと。
自分がどう好きか、君の魅力はどこか、等々
ひたすら語りまくるという方法。

要するに僕がブログに書いてきたようなことを
そのまま横で語られてる感じだ、酒を片手に。
照れを通り越して苦笑いしか出てこない。
僕はそんな人間じゃないよ。

サトルは僕のことを「優しい」と言った。
理由は自分が困ってた時、助けてくれたからだって。
親身になって助けてくれたの僕しかいなかったし
迷惑かけても怒らず許してくれたりが優しかったって。
いやいやオイオイちょっと待て~

確かに飯作ったり金貸したり家に住まわせたり
居候してる間の家賃も回収しなかったし
他にも色々あったけどさ、それは置いといてだ。
迷惑かけられた時は相当怒りましたけど?

そこそこバイオレンスあったと思うんだけどなぁ、
なんでそういうとこだけ抜けてるんだ、
もしや思い出が美化されてる系?
僕の人生で最も武力行使した相手ですけど。

「いや、怒っただろ普通に。」
「トヨが怒ったのは俺が調子乗り過ぎた時だから当然。
 だから俺が悪いの。」

サトルはずっと僕に嫌われてると思ってたんだって。
嫌いまでいかなくても苦手意識持たれてるか
そんなに好かれてはいないだろうという自覚があって、
それでも元々仲の良いタクとほぼ公平に
親切にしてくれたという印象を持っていたって。

やっぱ勘の良い奴なんだな、図星でドキッとしたけど黙ってた。
それにそういう見方をしたら、超良い奴っぽく見えるかもね。
で、そんな優しい奴なのに?誰にも頼ろうとしないし?
誰も僕を助けようとしない?不公平?ふ~ん

体調崩した時にそれ思ったけどね、僕自身も。
でもサトルももれなく助けてくれない友人その1でしたけど。
ていうか僕の迷惑友人ランキングぶっちぎりの第1位が
どんだけ自分棚上げしちゃってんだって話ですよ、
お前が言うなお前が~マジ笑かすな。

呆れて笑いを堪え切れずに半笑いで話を聞いていたら
「だから俺が守りたい」だの「支えたい」だのトドメに
「甘えさせてあげたい」だのとクッサイ台詞をほざき出した。
だーかーらーお・ま・え・が・言・う・な。

もうやめて、ふざけてるわけじゃないのはわかるけど
これ以上は笑わせるなと。今爆笑したら絶対怒るじゃん?
怒らせたくないからお前も笑かすなと。
ていうかこの流れ超断りづれぇ~

「わかったわかった、その気持ちは有難いけどね、」
「今度は俺がトヨのこと助けてあげたいの、恩返ししたいの。」

誰かこの人止めてあげて~

「いや、別に今困ってないし、」
「酔って言ってんじゃないよ?マジだよ?」

酔ってるとか誰もそんなこと聞いてねぇし。

「気持ちはね、有難いけどもね、うん」
「浮気しないし大事にするし絶対。」

もうダメ、先生、僕お腹が痛いです。

「ごめん、全体的に信じられなくて、どうしても冗談としか、」
「今信じてくれなくてもいい、信じてくれるまで待つ。
 ていうか俺が信じさせてみせる!」

どどーん!もうダメ、腹筋が10個に割れて死にそう。

もうね、全然人の話聞いてないのね、超俺が俺がモード。
実は酔ってんのかなぁ、こんな酔い方する奴だっけ?
僕と違って顔に出ないタイプだからわかりにくい。
この時点で僕は完全に脱力系クールドン引き。

なんつーか、サトルの居候を許して頭と心を悩ませていた
当時の僕に教えてあげたいね、当時の僕なら100%
絶対ぶん殴ってると思うけど。
でも、呆れたり冷めたりドン引きしたりする中で
少しずつ違う感情も芽生えていってた。

この日目覚めた時から一応ずっと決めてたんだ、
今朝の話の続きが始まったら断る方向で行こうと。
でもその決意が徐々に解れ始めたきっかけがこれ。

彼の我が道を突っ走る強引さと必死さと勘違いに
呆れつつも「コイツ可愛いなぁ」なんてどっかで思い始めて、
彼が何か言う度に苦笑いと小さな胸キュンが同時発生。
複雑なときめきが多発していたのは事実。

とにかく暑苦しい程必死だったね、僕の横で。
まだ冬で寒かった日だったのに
彼の半径30cmだけ湯気が出てるように見えた。
昔からクールな奴かと思ってたけど、こういうとこもあるんだ。

彼はいつもこんな風に女の子を口説いてるのかな?
女の子はこういうのどう思うんだろう?
母性本能くすぐられたりするのかな?
だから彼はモテるのかな?

また僕の悪い癖の1つ「独りで考え事」が始まった。
誰かと一緒にいてもつい自分の殻に閉じ篭ってしまう。
その間、彼の熱い口説きは右から左へ流れていっちゃった、
ちょっと勿体無いことしたなと今更後悔。

ぼーっとし始めた僕に気付いた彼が
「聞いてんの?」と僕の肩を強めに叩いた。

「聞いてるよ。」
「何考えてた?」

「そういう風に女も口説いてきたのかなぁ~と。」
「こんな風に熱く語ったことは無い。」

ふ~ん、なるほどね。まぁ、こりゃ半分は嘘ですよね。
だって僕も全く同じこと言ったことあるもん、だからわかる。
こういう時の男は基本的に多少嘘吐きになるもんさ、
それが僕の自論。女もどうせ嘘吐いてんだろ?て思ってる。

だけど嘘を吐くことがある意味本気の証明にもなってる。
本気で相手を落としたい、相手に気に入られたい、
その願望があるから自分を良く見せたくて嘘を吐いたり
誇張したり誤魔化したり濁したり表現を抑えたりする。

ありのままで気に入ってもらえる自信がある奴なんて
そうそういないよね。長く生きれば誰でも脛に傷くらいある。
要は口説いたことがあるか無いか事実はどうでもいいんだ、
彼が僕にカッコつけたってことが大事。

それまでずっと信じられなかった彼の気持ちが
このカッコつけがきっかけですんなり信じられた。
誤解が多々あるのは無視出来ないけど
そこらへん、どうしたらいいんだろう?

「なんだか随分買い被られてるような気がするんだけど、」
「買い被られてるってどのへんが?」

「俺はそんな良い奴じゃないってこと。全体的にね。」
「別にいいじゃん、俺がそう思ったって俺の勝手なんだから。」

まぁ、そう言われるとそうなんですけども。
だけど誤解されたまま付き合うなんてこっちは嫌だよ、
ずっとそのイメージを守ろうとして僕が疲れるか
勘違いする方が悪いんだと開き直ってありのままを見せて
後でそんな奴だと思わなかった~なんて展開も御免だ。

「誤解されたままじゃ話になんないね。」
「じゃあさ、そこまで言うなら本当のお前ってのを
 まず見せてくんない?俺は知らないんでしょ?」

う、急に口調が強くなってきた。
見せてくんない?て言われてもなぁ、うう~
だけどあっちの言うことも筋通ってるんだよなぁ。

結局、朝も夜もサトルのペースに呑まれ続けてる。

テーマ:いろんなことがあるもんさ - ジャンル:恋愛

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