僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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朝靄5
前記事の続き。

僕が誘った渋い居酒屋で口説かれまくって
若干引き気味の僕と、酔ってるのか正気なのか知らんが
ここぞとばかりに押して押して押しまくるサトル。
作戦名は「ガンガン口説こうぜ」みたいな。

いくら個室っぽい空間だからって
あまり大きな声で喋ったらマズイのに
時折僕が指を立てて静かにとサインすると
彼はあからさまに膨れっ面を見せる。

押しに弱い自覚はある。面倒臭がりだから
疲れる拒否より楽な受入を選びやすい自覚もある。
彼を好きになった過去もあるし、ときめいた自覚もある。

でもずっと警鐘が鳴りっ放しなんだよね、頭の奥でさ。
苦手、合わない、しんどい、続かない、苦労する、泣く、
そういうことばっか言ってんの、警鐘が。

お互い傷付け合うだけになりそうだねって
随分前に話して納得したことを
僕だけが引き摺ってるみたいだ。

どうして彼はそう思わなくなったんだろう?
当時は彼も同じように納得してたはずなのに、
今朝聞いて答えてくれなかった質問だけど
今なら答えてくれるんだろうか。

「何でそっちの考えが変わったのか知らないけどさ、
 やっぱどうせ上手くいかねぇだろって考えがねぇ、」
「何で考えが変わったのかっていうと、俺が変わったから!」

まぁシンプルですこと。そして漠然としすぎ。

「えぇ~具体的にいうと?」
「なんでそんな難しい言葉で話すの?」

今の言葉のどこがどう難しいのかを
具体的に説明して欲しいくらいだ。
そう言えば同じようなことをタクにもよく言われたっけ、
1人で思い出し笑い、お陰でまた肩の力が抜けた。

「でもトヨのそういうとこも好きだけどね。」
「もうやめて、マジやめてそういうのほんとに。」

ニコニコしながら好きとか言っちゃダメだって、
落ちちゃダメだ落ちちゃダメだ落ちちゃダメだ~
ってどこの碇シ〇ジですか。
だけど心の中で本当にこれ唱えてたから笑える。

「トヨは好き?嫌い?」

深く頭を垂れて自分の殻に閉じ篭ろうとする僕に
容赦無く浴びせられた直球の質問。
もし嫌いと答えたら彼はどうするつもりなんだろう、
それとも嫌いと言われない自信でもあるのか?

「嫌いって言ったらどうすんだよ。」
「なんでそんな回りくどい言い方すんの?」

僕は俯いたまま黙ってた。
一呼吸置いてから彼は答えてくれた。

「縁は切りたくないから、このまま友達でいさせてって頼む。」

この言葉で、背中がぞくっとした。
真っ暗闇の中に1つの炎が灯ったような静かな衝撃。
要するにこれがトドメ、これが僕の砦が崩れた瞬間。
胸が熱くなってズキッと痛みが走って、全部どうでも良くなった。

「好きだよ。」

あ~あ、ついに言っちゃった、落ちちゃった、負けた、はぁ、
言葉が出た瞬間の率直な感想がこんな感じだった。
別に勝ち負けなんて関係無いはずなんだけどね、
不思議だけど本当にそんな風に思った。

でも負けたことが悔しいって感じはしなかったな、
どっと大きな疲れを感じて、解放された時特有の溜息も出た。
この時の感情を言葉にするなら多分
「清々しい」や「すっきり」が最も相応しい。

そんなすっきり感もほんの一瞬ですぐさま
烈火のごとく胸中から全身に炎が燃え広がる。
照れ臭さともう後戻り出来ないという焦燥感もあった。
点火して後戻り出来ないって、なんかロケット発射みたい。

俯いたままの姿勢で身体は激しく燃えながら
一方で心や思考等の中身はとっくに燃え尽きて
真っ白に灰になったという複雑な状態に。
複雑になると僕は身体を動かせなくなるらしい。

「嘘、マジで?ほんとに?」とか彼が小声で
ぶつぶつ言ってる声が聞える。
でも返事なんて出来ないよ、2度も言わねぇぞって
言いたくても口もガッチガチに固まってる。
彼も段々とテンパってきた様子、僕のが感染ったかな。

「うわぁ、やっべぇ、頭熱くなってきた、やばい、」

あぁ、うん、テンション上がってるんだね、わかるよ~
でも僕は今すぐこの場から全力疾走で逃げたい気分だよ。
なのに身体が全く動かないような状態なんだよ、
だから今はあまり話しかけないで、そっとしといて。

「ねぇ、ねぇ、トヨちゅ!ちゅー!」
「やめろやめろマジやめろ触んな!」

自分でも引くくらいの力で思い切り振り払ってしまった。
テンパり過ぎて力の加減が上手くいかなかったんだと
すぐに気付いて素早く「ごめん」と謝った。
僕のちょっとした暴力で一瞬空気が凍ったのを肌で感じた。

怒ってるかな?と思って彼の横顔を観察しようと
俯きから少し顔を上げて彼をチラ見。
彼は頬杖をつきながらこっちをガン見。
うわぁ気まずい~こっち見んな。
彼の表情は勝者の笑顔だった。

「トヨ~」
「なんだよ。」

「ちょっと見てて。」

見てて、と言われてチラ見の姿勢を維持していたら
彼は店員さんを呼び止めて焼酎のボトルを1本注文。
こんなしょっちゅう来るわけでもない店で
まさか記念ボトルなんて入れる気?んなわけないよね。

「トヨ見てて。」

無言のまま言われるがままに彼を見続けた。
僕の視界に映った彼は席から立ち上がり
蓋の開いた焼酎ボトルを1本、片手に持っていた。

え、まさか、ちょっと?と僕の予感も的中、
彼はボトル直呑みで焼酎一気飲みを始めた。
行動が唐突過ぎて意味不明過ぎる。

「何してんの、やめとけって。」

僕の制止を無視してひたすら酒を流し込む彼の勇姿は
狭い居酒屋店内で他の客の視線も集めていた。
うわぁ、すげぇ目立ってんじゃん恥ずかしい、
てか大丈夫?何でいきなりこんなことすんの?
途中で倒れたりしないでよ?!

他の客の視線に混じって心配しながら見つめていたら
瓶の中身は安定したペースで減っていって
最終的には見事呑み切ってしまえた。すっげぇえええ!!

そして飲み干したボトルを高く掲げた後
周囲からちょっとした拍手と歓声が巻き起こってた。
彼は笑顔で「どうも~♪」と笑顔を振り撒いて
最後に僕に向けて「どうだ!」と言わんばかりの笑顔。

「すげぇ、本当に呑み切った。」
「へへへ~カッコイイ?カッコイイ?」

「なんでいきなりこんなことを?」
「なんかがーっとなってテンション上がって
 わーっとなってついぐぁ~っと。」

いやん可愛い、バカっぽ~い♥
なんなんだよそのついカッとなってやった的な
バカっぽい動機は。かーわーいーいー♥

色んなツッコミしてるけど結局もう
リミッター解除されたらこんなもんですよ、
簡単にデレますよ。何したって可愛く見えるよ。

「あんなことして酔わないの?」
「酔ってるよ?そこそこ。でもまだ大丈夫。」

すっげぇ~ホストすげぇ、てかサトルがすげぇ。
ホストやってたらみんな出来るようになるんか?
未だに酒弱い僕がやったら絶対死んじゃうぞ。
でも正直に言うと、カッコイイっていうか
単に凄いって思っただけでした。

「仕事でいつもあんな呑み方してんの?」
「いつもじゃない、最近もやってない、今日久し振りにやった。」

「身体大丈夫なの?」
「身体のこと気にしてたらあの仕事出来ないよ。」

デスヨネー絶対身体に悪いよね、
改めておっかねぇ仕事してんだなと思っちゃったよ、
しかしそんなお前がかっこいいぞ、みたいな。
だけどもうしなくていいから、今日限りにしておいて。

「じゃあやるなよ、今仕事じゃないのに。」
「心配してくれてんのぉ~?やっさし~♥」

油断してたらほっぺにぶっちゅーされた。もうヤダ~でも可愛い。

テーマ:いろんなことがあるもんさ - ジャンル:恋愛

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