僕を埋め尽くす秘密
バイでリバの♂が恋愛仕事人生等に悩みながらも真面目に生きてるよ

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元旦2
前記事の続き。


元旦の朝にまさか恋人の実家訪問するなんて、
そういう話があるならもっと早めに言っといて欲しかった。
普通なら何か手土産の一つでも持参するべき
なんじゃないのか?僕の立場的に。

そう考えて一度神社の所まで戻り
何かお土産に相応しい菓子折でも無いかと探索。
しかしサトルは面倒臭そうに
「そんなんいらねぇから早く行こうぜ」の一点張り。

そう言えばタクも似たようなこと言ったっけ、
アイツのお母さんの故郷に旅行に行った時だ。
ったくどいつもこいつも僕の立場を考えねぇ奴らだな。
お前ら日本人は礼儀に煩い民族とちゃうんかい。

「そういうワケにもいかねぇだろー」
「いいってそんなん、うち気にしないからー」

「俺は気にするの!てかちょっとは俺の立場も考えろよ、
 お前は黙って俺の言う事聞いときゃいいんだよ。」

言った直後に「しまった!」って思った。
ついうっかり亭主関白的な一面が出ちまった~
と気付いた時にはもう遅く、新年早々お土産屋さんで
彼氏からまぁまぁのビンタを食らった。
頬じゃなくて顎下から入ると本当に軽く飛べるね。

くそぅ中吉じゃねぇのかよ、いやでも
初詣で反則した神罰と思えば納得もいくか。
流石に正月ぐらいは神様もちゃんと仕事してんだね。

てかあの言い方は僕自身も悪いと瞬時に思ったし
これ以上喧嘩にならずに済んだので良しとした。
中吉ってこういうことなのか。

懐かしの地元まで気合でバイク運転、クソ寒い。
やっと辿り着いた地元であまりの懐かしさに
まさかうっかり道に迷っちゃうとは思わなかった。
地元で迷子とか奇跡的なアホだろう。

だって僕、サトルの家、あんまり来たことなかったし。
サトルもサトルで地図も読めないおバカちゃんだから
ナビがド下手糞だったし。右か左か聞いてんのに
何なんだよ「上」って、飛べってのか。

家を憶えてなかったことでもまたちょっと怒られた。
ていうか不貞腐れられた。機嫌を損ねられた。
その挙句「どーせタクの家は憶えてんだろ」と
メット越しに頭をグーでゴツンとやられた。

恐らくサトル家を目の当たりにするのは10年以上振り
のはずが、うーん全然ピンと来ない。
記憶の片隅にも残ってない。まるで初めて見る建物だ。
今日でしっかり憶えるからそんなに怒らないでよ。

実家に着くなりサトルは勢い良く玄関を開け
家中に響き渡るような声で
「ミツコー!(サトルママ仮名)」と叫んだ。
あぁそう言えばサトルは母親のこと名前で呼ぶんだっけ。
変わった家族だな~てかお前の実家は鍵掛けないのか!

家の奥からトコトコとサトルママ、ミツコさん登場。
自営業で飲食店をやってると聞いてたけど
思ってたより質素な雰囲気の人だった。

ぶっちゃけ想像より全然ケバくない。
オフ日で化粧が薄いせいかな?でも顔は息子と超そっくり。
2人並ぶと明らかに血の繋がりを感じられる。
やっぱ息子って母親に似るものなのか?うちもそうだし。

小柄で優しそうな垂れ目が印象的な、ほんわか熟女って感じ。
個人的にアリだなぁみたいな。可愛いと思っちゃったけど何か。
サトルには絶対言わないけどさ、流石にドン引きされると思うし。

サトルママ、息子の顔を見てぱぁっと笑顔を咲かせた後に
僕の存在に気付き視線をロックオン。僕にも一応笑顔をくれた。

「あら、友達?明けましておめでとう~」

はい、初めまして明けましておめでとうございます。
って僕言おうとしたのに僕より早くサトルの一言が炸裂。
全く予期していなかったとは言わないけどこの件が原因で
僕はずっと正体不明のブルーを抱えることになる。

「ううん、彼氏。」
「えっ!?」

パタン

僕は思わず玄関のドア閉めた、自分だけ外に出て。
まさかなぁ、とは思ってたけどマジにやりやがったかコイツ。
僕の関係者ではないのだからどうこう言う資格は無いのに
理不尽な苛立ちが沸々と募る。

サトルの家族なんだから、彼の都合と独断と偏見で
自分の家族にどう紹介したっていいじゃないか。
こんなことで怒ったら僕が心狭いんじゃないのか?
いや、でも心の準備くらいさせてくれても良くないか?
不毛な自問自答が続く。

閉じたドアはすぐ開き、中からサトルの顔と手がひょっこり。
「何してんの早く入れよ」って腕を掴まれ引っ張り込まれた。
あぁもうどうとでもなれ、既にすっげぇ帰りたい気分。

改めてサトルママから新年の挨拶を貰ったけど
完全に思考が停止しちゃったような表情だった。
そりゃ普通驚くし耳も疑うようなことだよ、
ノンケの衝撃反応ぐらい大目に見てやれよ俺。
こっちの苛立ちが絶対バレないような表情作り。

挨拶の時どう呼んでいいのかわからず
「サトルのお母さん」と呼んだら
サトルから1つ注意事項を聞かされた。

「うちママとかお母さんとかおばさんて禁句だから。
 ちゃんとミツコって呼んであげて。」
「人様の母親を名前呼び捨てなんて出来るか!」

「ミツコさんでもみっちゃんでもいいからさ、
 みっこちゃんて呼ぶと一番喜ぶよ。」

親世代の女性をみっこちゃん、てか恋人の親をちゃん呼びって。
出来ない、僕には絶対出来ない。ミツコさんで妥協させて下さい。
自分の母すら未だに「お母さん」と呼ぶのに抵抗あるってのに。
何この家族、変な家族。うちも他所のこと言えないけど。

とりあえず家の中に入れてくれたけど僕はずっと無言。
ミツコさんとサトルは親子の会話を楽しんでた。
ずっと黙って下向いてたけど、ミツコさんの一言一言が
気になって暫く居心地悪かった。

え、この後お姉さんも帰って来るの?子供連れて?
きっとまた同じような紹介をされて
同じようなリアクションを貰うんだろうな。
いよいよますます帰りたくなってきた。
やっぱり居心地の悪さは直らない。

よく考えたら本当はとても幸せなことなのかも
しれないよね、家族に紹介してもらえるなんてさ。
でもこの時はとてもそういう風には思えなかった。
サトルの気持ちや誠意は嬉しいし信じてるけど
苦手な乗り物に無理矢理乗せられた感は拭えない。

親子水入らずな会話がひと段落したらでいい、
なるべく早めに彼と話し合いたかった。
ちゃんと話せばわかってくれるかもしれない。
もしわかってもらえなくても、とりあえずこの場から消えたい。

僕らの会話は全て耳打ちで行われた。

「悪いんだけど、俺だけ先帰っていい?」
「なんで?」

「ごめん、嫌とかじゃないんだけど、なんか、

どうしよう、上手く言えない。最適な言葉がわからない。
でもこればっかりは、言葉抜きで理解してって無理過ぎる。
言葉1つ間違えたらサトルに誤解させてしまう可能性も。
幸いサトルは真っ直ぐ聞く準備をしてくれてる、ような気がした。

 やっぱりまだ緊張する、落ち着かない。俺が勝手に
 気マズく感じちゃってるだけなんだけど。」

出来れば「気マズイ」と「居心地悪い」のワードは
使いたくなかったんだよなぁ、本当は。
でも他に全く思い付かなかったからしょうがない。
さてサトルはどんな裁きを下すのか?

「え~帰り俺1人で電車乗れって言うの?絶対ヤダ。」

そこかよ!

「電話してくれたら迎えに来るから。ね?」
「電話してから1時間以上待たなきゃダメじゃん、ヤダ。」

「じゃあ駅の近くで待ってるから、それならいいでしょ?」
「わかったよぉ~俺も一緒に今帰るよぉ~」

と言った直後サトルはミツコさんに歩み寄り

「もう帰るから、お年玉くれ。」

と身も蓋も無いなく手の平差し出しちょーだいポーズ。

いやいやいやいや!お前はここにいろって!!
ミツコさんお前の顔久々に見れて喜んでんだしさ~
まだ30分くらいしか経って無いじゃん、それで
お年玉だけ貰ってハイサヨナラはいくらなんでも
ミツコさん気の毒過ぎるだろ。

「もう帰っちゃうの?」

ほら、ミツコさん寂しそうじゃん。超切なそう。

「うん、で、お年玉トヨの分もちょーだい。」

ちょ、お前!えぇっ?!俺巻き添え!
他所の家族だから何も言えるもんじゃないけどさー
いくらなんでもこれ酷過ぎるだろ!酷過ぎて笑っちゃったよ。
お前本当にとんでもないロクデナシ息子だな。

あーあ、ミツコさんもちょっと呆れながら怒ってんじゃん、
そりゃ怒るわ。
あぁでもこれってやっぱ、僕のせいなのかなぁ、
僕が悪いのかなぁ、どうしよ今からでも遅くない?
ここは僕が耐え忍ぶべき?

「サトル、やっぱ大丈夫、もうちょっといよう。」

結局帰らず耐え忍ぶことに。
いいんだ、僕が我慢してみんなが笑顔になれるなら!
今年もこうやってサトルの尻に敷かれる1年なんだ。

結局サトルの我儘で、僕までお年玉を貰ってしまった。
こんなの貰えません、お気持ちだけで充分ですと
丁重にお返ししたらサトルが入院した話を持ち出され
逆に丁重に返却を断られた。

そう言えばそんなこともあったっけ、
こっちが忘れてましたよ。
うーん、それなら仕方が無いのかなぁ、と
お年玉の入ったポチ袋を見つめ呆然としていたら
スリ並の鮮やかさでサトルに掻っ攫われた。

更にサトルから「仕事辞めた時も世話になったから」と
居候時代の話までされ、ミツコさんからより丁寧な御礼が。
いえいえ滅相もございません!とこちらも全力低姿勢。

だってさ、確かに居候はさせましたけども、
こっちも大事な息子さんに手出しちゃいましたからね、
最終的にボコして追い出したとかね、
御礼とか気まず過ぎて居心地の悪さMAXです。

そしてサトルのお姉さんも小さな男の子を連れて合流。
サトルの甥っ子にあたる3歳の男の子は
僕の目から見てもめちゃくちゃ可愛い顔してた。
サトルにもお姉さんにも似てるとは思わなかったけど、
明らかに美形の血を受け継いだ顔。本当に羨ましい家系だ。

因みにお姉さんはサトルのことを何故か「弟」と呼び
弟のサトルは姉を「サオリ(仮名)」と名前で呼び捨てにする。
確かに姉を「姉さん」や「姉貴」と呼ぶのだから
「弟」って呼ぶのもおかしくはないかもしれないけどさ。
やっぱちょっと変わってると思う、この家族。

サトルのお姉さんにもやっぱり同じように紹介されて、
やっぱり同じようなリアクションをされたけど
特に否定もされず「愚弟がお世話になってるそうで」
という挨拶を貰った。そしてやっぱり入院の件でお礼を言われた。

ミツコさん曰く「うちはお水一家だから多少のことじゃ驚かない」
だそうで。そうなんだ、お姉さんもお水やってたんですか。
確かにどの角度から見ても美人のお姉さん。

でもサトルにはあんまり似てない気が?顔の質が違う感じ?
いや、まさかね、下世話な深読みはよろしくないよ、うん。

「サトルのお姉さん、超美人だね。お母さんもだけど。」
「サオリは昔の方が良かったなぁ~今はもう老けちゃってダメ。
 ミツコは普通のオバチャンとしか言いようがない。」

お前は母親と姉をまるで自分の元カノのように語るな。
てかこんな風に喋る人も初めて見たよ。
このサトルの評価に女性陣も全力で鋭い反論を展開。
この家族、喋り方とか考え方とか地味にそっくりで笑える。
サトルのルーツがここにぎゅっと凝縮されてる感じ。

サトルのお姉さん、初対面だと思っていたけど
実は僕がまだ地元にいた頃、何度も見かけたことがあった。
地元の駅やバス停や道端等々で見かける度に
「凄い美人だな~」と思って印象に残ってた人だった。
まさかこの人がサトルのお姉さんだったとは。

この話したらサトルのお姉さん、凄いの。
「あぁよく言われる」ってあっさり即答。
続いて弟も「うち美形姉弟で有名だったもんね」て。

褒められた時の反応まで姉弟でそっくりになるんだね、
この家族は自分に対する賛辞を絶対否定しないんだね。
因みに父親も母親も同じ、ちゃんと血の繋がった姉弟らしい。
タク家の兄弟なんてみんな同じ顔してんのになぁ。
兄弟も色々なんですね。

僕らがサトルの実家を出て家路に着いたのは
とっぷり日も暮れた夜だった。
サトルの家で昼寝したりお雑煮ご馳走になったり
甥っ子の遊び相手をしたりで何だかんだでこんな時間。

いや、正確にはミツコさんがお雑煮作ってみたけど
元々料理が苦手らしく失敗し何故か客の僕が作り直す羽目に。
他所の家の台所って勝手がわからなくて苦手なんですけど。
サトルくん、君ダイエット中って言ってなかったっけ?
餅6個も食ったら絶対痩せないぞ。

何でだろうね、とてもいい雰囲気で接してもらって
あっさりめだけど素敵な家族だと思ったんだけど、
僕はずっと最後まで居心地が悪かった。
僕の居場所が見つからない、落ち着けるポジションが無い。

最後までそんな不安感が付き纏っていた。

テーマ:男同士の恋愛 - ジャンル:恋愛

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